「翔平くんっ……」 教室には朝から甘ったるい声が響いていた。 フワフワと柔らかそうな髪を揺らしながら翔平の腕を掴む彩乃ちゃん。 そんな彩乃ちゃんの言動は、完全に2人は付き合っていると今日も周囲を疑わせない。 それでも、何も言えずにジッとそれを見つめるあたしの気持ちは昨日までとは違った。 だって。 今のあたしには確かなものがあるから。 それは…… 翔平の、気持ち――…