これが禁忌だとしても、かまわない。 何もかも手放したって、目の前の温もりだけは離したくないと思った。 翔平の気持ちに応えるように、あたしも背中に手を添える。 ベンチからコーヒー転がり落ちたことも気づかないくらい。 あたし達は夢中で唇を重ね合わせていた。 三日月と十字架だけが、あたし達を見ていた――…