チリンチリン…と自転車のベルの音がした。 「よ~」 翔平が家に入ったのと入れ替わりに、機嫌よさそうに教会の門をくぐってきたのは理人。 「どうしたの?その前髪」 長い前髪が、ちょんまげのように結わいてあった。 なんだか、可愛い。 「サッカー部の先輩に遊ばれた~」 そう言って笑う理人の両親は、理人が1歳にも満たないころに事故で他界してしまった。 理人の実の母親は、ここのお母さんの妹。 つまり姉夫婦が、残された子供を引き取ったというのが理人がここに居る理由。