リビングに顔を出すと、静子おばさんとママがテーブルに向かい合って座り、お茶を飲んでいた。



「おっ、千春。相変わらず美人だねぇ」


「……もうやめてよ。静子おばさん、今日もうちでご飯食べてくの?」


「そのつもりだったんだけど、今日は私の分まで準備してないんだとさ」



大げさに悲しむ静子おばさんにママが言う。



「あんたがいきなり来るから悪い。いつもなら、前もって電話するじゃないの」


「だって急に蛍子ちゃんのご飯が食べたくなったんだもーん」


「次はちゃんと電話しなさいよ?」


「あ……っ!」


「ちょっと、人の話聞いてんの?」


「あー思い出した! さっきの話!」


「さっきの……?」



“さっきの話”をママも思い出して、「あーっ! 思い出したのっ!?」と大はしゃぎする。


たったいま帰ってきたばかりのあたしには、まったく話が見えない。

だけど、2人のやりとりが面白くて、つい笑ってしまう。