「ここで用賀君が死んだ。私と同じように横になって顔から轢(ひ)かれた」



 ぞくりと恐怖が走る。



「ここ」



 少し先の方にあざみがいて、同じように指を指す。




「ここでタイラちゃんが死んだ。体はぶっつり半分に切れた」




 桜の足はまた前方へと動き出した。





「あんた......ちょっと」





「ここで...」



 腰を落とし、

 愛おしそうに眺め、優しく愛すように線路を撫でた。

 何度も。

 ......何度も。

 ...............何度も。






「私が死んだ」







 桜の方を向いたあざみの目の部分には、真っ黒い穴があいていた。

    
 

「ここにするといい。ここで最期にするべき。ほら、私と同じところで」

「何言って...」

「みんなここにいるよ」

「何言って......」



「ほら、用賀君もタイラちゃんもみーんなここにいる。見えるでしょう?」





 あざみが指差した方に顔を向けると、




 そこには息を飲む光景が広がっていた。