黄色い線の内側までお下がりください


『桜ちゃんが苦しむのはあんたのせいだからね』


 富多子の耳にあざみの声が届く。


『これ以上邪魔をしたらあんたも、どうなっても知らない』



 富多子は下を向き、目を泳がせた。


「私・・・」


 桜は自分を落ちすかせるように、胸を何回か叩くことを繰り返すが体の震えは収まらない。




 アナウンスが入る。




 _電車が通過します_




「桜ちゃん」

 声のした方、線路に目を向けると、あざみが笑って立っているが目は笑っていない。


「こっち」


 両手を差し出すあざみに恐怖を覚え、首を振った。


「来て」




 あざみの顔から笑みが消え、

 伸ばした両手の肉がずるりと剥け落ち、

 白い骨が見え始めた。



「やめて」


 震える声で言いながら顔を振るが、視線はそこから外れない。