黄色い線の内側までお下がりください


「わかった」


 桜が紫陽花を見ている間にあざみの姿はどんどん変わっていく。


 髪の毛が抜け落ち、頭蓋骨が見え始めた。


 首が後ろにかくんと折れ、首の骨が喉から突き出た。





 まだ電車は来ない。

 雨がだんだん激しく降り始め、線路に水玉模様を作り始めた。

 ホーム上から見える川は茶色く濁り、水かさを増す。

 墓の絵の看板は依然としてそこにあって、紫陽花の絵もその看板の中に、変わらずそこにある。


 枕木の間に咲く紫陽花。


 呼ばれるようにホームのぎりぎりのところまで歩く。

 「こっち」

 紫陽花の横にあざみがいて、無表情で手招きをする。

 けっこう高い。

 あの時、桜がしたように、ホームに腰掛けた。



「ここ」



 あざみが紫陽花のところを指で示す。

 高さを確認して、足下を見た。