黄色い線の内側までお下がりください


「きれい」

 自分の首にネックレスをつけ、リボンの形のヘッドを手でなぞる。


 残された小物入れは、もう用が済んだとばかりに勢いよく線路に投げ捨てた。


 投げ捨てられた小物入れを目で追い、線路に視線をやる。



「あんたそれ大事なものって・・・」


 桜は途中で言うのをやめた。


 線路に、枕木の間に、不思議なものをみつけたからだ。




 真っ青な紫陽花がひとつ。




 どうしてここに? そんな季節じゃない。


 惹きつけられるほどに綺麗な紫陽花は、桜を魅了する。



 あざみは真っ白い目で桜を見る。

 唇は無い。

 歯も無いし舌も無い。

 真っ赤な穴が顔の下半分に開いている。

 腕は一本削げ落ち、右半分の顔の肉は地面に落ちた。

 黄金色に輝くネックレスは血で錆び付き、鉛色に変色していた。