黄色い線の内側までお下がりください


「私が探してるのはそんなものじゃないよ」

「・・・これを返して欲しかったんじゃないの?」

「違う」

「じゃ、何よ」

「それは・・・」



 顔を上げたあざみの顔は、子供のようにあどけない笑顔。


 歯を見せて笑い続けるあざみの髪の毛は徐々に逆立ち始める。



 桜の元にまた風が届き始めた。

 その風に顔を歪め、反らす。



「何これ」

 富多子の方に目をやると、興味深そうに大きく目を見開き桜をじっと凝視していた。


 寒気。


 風が強くなり、髪は後ろに流された。

 鼻につく臭いも強烈なものになる。


「なにこの臭い」


 桜は手で鼻と口を覆い、反らした目をあざみに戻す。