「なんかさ、残念だよね、だってほら、一緒に行くはずだったでしょう? でも......ねぇ?」

「......あぁ、えっと、そうだね...残念だったよね...でもさ、あれだし、ほら、楽しまなきゃ!」

 ね! っと桜は暗くなった彼氏の腕に絡みつき、肩に頭を乗せた。

 タイラにも話を変えさせようと目で合図をし、タイラもまずいことを言ったとばかりに舌をぺろっと出した。

「そうだよね。桜が言う通りいつまでも考えてちゃダメなんだよね。よーし! テストがんばる!」


 教授が入って来たのを合図に3人は席に戻り、

 バッグの中から必要なものだけを取りだした。



 
 桜は7月いっぱいはバイトを入れている。

 8月の最初に伊豆へ行く予定になっているため、

 もちろん今日もバイトに向かう。

 店長がまた気の利く人で、旅行に行く一週間前のお給料の半分を、

 最終バイト日に現金で払ってくれるということだ。

 それでも3万円ちょっとのお金になる。

 大学生にしてみたらいいお小遣いだ。
 
 こういう大学生がしたいことを応援してくれる店長なので、従業員からの評価も高く、また信頼度も高い。