10階建てマンションの屋上からスイカを落としてみると木っ端微塵になる。そして辺り一面に真っ赤な実をさらけ出す。


 新幹線に飛び込めばそんなかんじだ。



 削り取られた肉はミンチ状になり、ピンク色のころころした塊に脂が光る。どろりとした白い脂の塊や、ソーセージのような細長くぶにゃりとした棒状のものが辺り一面に飛び散るのは、



 スピードの出ている列車に飛び込んで引きずられた時。



 ホームに入ってきている失速した電車の場合......



 どうなるのだろうか?






 高津用賀ははたしてどういう最後を送ったのか。

 桜はそんなことを考えたくないと思えば思うほど、頭はそっちの方面へと傾いてしまう。
                                                                    

 自宅の天井には黒い染みがひとつ浮かんでいる。
 

 古い木造家屋のこの家は、様々なところの木目が人の顔に見えたり、ちょっとした染みが、そこにいることのない霊に見えたりしてしまう。