「早く、早く、早く」
富多子は白目を剥き始め、縛り付けられた体を力任せに波打たせる。
「だからほら、ダメだって言った」
あざみは富多子の口許に胃袋をあてがい、溢れ出た血液を胃袋の中に一滴残らずに入れ込む。
「飲みたいんでしょう?」
唸る富多子はよだれと血液を交互に吐き捨て何かを言っているがもう、言葉にもなっていない。
「でも...これは...ダメ」
紫陽花はこれでもかというほどにきつく締め上げ始めた。
最期が近いのを悟らせるかのように。
最後に大量の血液を吐血し、泡を吹いて体を激しく上下に痙攣させて、喉に筋が入るほどに首に力が入る。
紫陽花の花と葉は富多子の体の中へ入り込み、下半身はいつの間にか紫陽花で隠れている。
「これは、大切にしておかないと」
胃袋を縛り、中に入れた血液が外に漏れないように閉じ込めて大事に胸の前で抱える。
用賀からもらったバッグを抱えるように、しっかりと胸に押し付けた。

