黄色い線の内側までお下がりください


 腹の辺りから冷たくなる感覚、そこに手を当てればあるべきものがなくなっている。


 肋骨と肋骨の間には空洞。触った手の指先には真っ赤な血液。

 その中に容赦なく雨が入り込んでくる。



「......胃が......ない」



 ごっそり削げ落ちた腹の肉の中にはあるべきものがない。



「これ」


 隣にはあざみが立っている。目に見えるのは、腰まで紫陽花に喰われているあざみの足。


 そこではっきりと意識が戻った。今自分は横になっていて、その横になっている場所は線路の上。


 しかもそこは桜が潰された場所だ。