理想の子

夕飯の次はお風呂だ。


最近は機械にも防水機能がついていて、お湯に浸かれるアンドロイドも珍しくない。


よりかちゃんがいっぷくしている間に、私はお風呂をピカピカに磨き上げる。

いつもはカビや水垢が浴槽にこびりついていて、ナメクジが壁を這っているのだが、さすがにそれではよりかちゃんがかわいそう。


1時間かけて洗剤、ブラシ、スポンジを使い、つるつるキラキラになるまでこすり続けた。


素晴らしく綺麗になった浴槽には、あふれるまでお湯を入れる。

石けんは小さくふやけていたので、新しいものに取り替えた。


完璧である。


「よりかちゃん、お風呂が沸いたよ。
入りなさい」


はあい、と返事をして、私と入れ替わるように脱衣所へ入るよりかちゃん。


やがて浴室の扉が開閉される音がしたのを見計らい、私は脱衣所へ入る。

脱衣カゴの中には脱いだ服が入っていた。

まるでウサギの毛皮のようにふわふわしたやわらかい服とジーンズ、それから下着。

それらを、カゴのすぐ脇にある洗濯機へそのまま放り込み、洗剤をたっぷり入れてスイッチオン。

洗濯機がうなりを上げて回り始める。


「よりかちゃん、洗濯やっておくからね」


浴室に向かって声をかけると、ありがとうと感謝の言葉が聞こえる。

よりかちゃんの役に立てた。

それがとても、嬉しかった。