理想の子

よりかちゃんのためにと、私はたくさんご飯を炊いた。


最近のアンドロイドはよくできていて、まるでミルク飲み人形のように、人と一緒の食事が取れるという。


ご飯は5合炊き、家で一番大きな、普段はラーメンを入れる丼に山盛りよそった。

これだけ炊けば、好きなだけおかわりできるだろう。

焼きうどんとスパゲッティも、フライパンと鍋が満杯になるまで作り、それぞれ大皿によそってあげた。


「よりかちゃん、夕飯ができたよ」


よりかちゃんの部屋の戸はしまっていたので、部屋の前に立って呼ぶ。


はーい、と部屋の中から声がして、カタカタと戸が開けられた。

現れたよりかちゃんは、私の顔を見て少し驚いた顔をする。


「どうしたの?」

「ううん。
戸のすぐそばにおばあちゃんがいたから、びっくりしただけ」


微笑むよりかちゃん。

なんて愛らしい笑顔だろう。


「さあ、早く食べなさい。
冷めない内に」


居間へ案内すると、よりかちゃんはちゃぶ台の上にあるごちそうを見て、目を丸くした。


「……たくさんあるね。
これ、おばあちゃんと私で食べるの?」


「ううん、全部よりかちゃんの分だよ。
おばあちゃんがよそっておいたの。

ご飯と焼きうどんとスパゲッティ、さあどうぞ」


「いただきます」


よりかちゃんは、猛烈な勢いで、まるで頬張るように夕飯を食べた。


「ごちそうさま、もうお腹いっぱい」


よそってあげた丼と大皿2つ分を残らず平らげて、お腹をさするよりかちゃん。

よりかちゃんは体型がとてもほっそりしているから、たくさん食べて元気になってほしい。


「明日はもっとたくさん作ってあげるよ。

楽しみにしていてね」


「ありがとう、おばあちゃん」