「蒼斗くん!お昼食べよ?」

「…おう」




最近あたしは蒼といない。

あの日も結局、彼女に会いに行ったきり来なかった。

…楽しみにしてたのに。




「さーや?」

「あ、結愛!」

「あたし聖也とご飯食べる日だけど…?」

「いってらっしゃい♪」

「でも沙耶…」

「あたしなら大丈夫だよ」

「…聖也ぁー」

「あいつ意味わかんねぇからな。とっとと別れろよ」

「聖也!…あたしなら保健室行くから♪」

「「…わかった」」




腑に落ちない感じで2人は去っていった。

…1人で、お昼なんか初めてだ。




「せーんせっ」

「あれ、沙耶ちゃん?」

「翔大くんっ」

「1人?」

「う、うん…」




翔大くんの瞳があたしを見据える。


なにかも見透かされそうで怖い。




「寂しい?」

「…っえ?」

「沙耶ちゃん、寂しいんだろ?」

「…翔大くん…」

「一緒にサボる?」

「…へっ」

「もう鳴るし。…しかも沙耶ちゃん泣きそう」

「翔大…くん…」



ほら。

見透かされた。

…寂しい。

寂しいの。

…蒼が隣に居ないってこんなに寂しいなんて。





「…おいで、沙耶」

「…っ」



抱き締められたこの腕の中も、蒼とは違う。

…蒼。

蒼が居ないだけで、あたしはこんなにもダメになるんだね。