「……先輩、もういなくなりましたよ、大きい蛾」 「……マジ?」 「まじです」 助かったーといって溜息を落としながら、私から離れる。 本当に、無邪気というか、子供というか……。 そのわりに、やることはしっかりやっちゃって。 ニコッと笑って私を見るその顔を、冷静に見つめる。 そもそも、あたしはなんでこんなヘタレな先輩なんか好きになったんだっけ。