恐怖短編集

「はいよ。しっかり目を覚まして」


栞より五つ年上の一哉は、やはりしっかしりている。


栞は申し訳なさそうにコーヒーを受け取り、それを一口飲んだ。


苦い味が、口の中から脳を刺激する。


「ところで栞ちゃん」


コーヒーを飲む様子を眺めていた一哉が、いかにも『仕事話ではないよ』、という口調で話しかけつつ、なれなれしく栞の肩に手を回す。


「なんですか?」


栞はそれを嫌がる事もなく、ただ聞き返す。