恐怖短編集

柔らかい一哉の額に、特に音を立てることもなく、太く大きなクギが突き刺さる。


けれど、栞の右手はちゃんと感じていた。


大好きな人の体にクギが入っていく感覚を。


肉を裂くような生々しいものではなく、手ごたえも少なく、本当に刺さったのかどうか疑問になるほど、ひたすらあっけない感覚を。


一哉の額から水水しい液体がゆっくりと流れ出す。