恐怖短編集

足が動かない分、両手の力だって強い。


その力で、まるでぬいぐるみのように簡単に栞を持ち上げて、自分の腕を栞の体にグルグルと、何十にも巻きつけた。


「ダメよ、私は棒じゃないの」


栞が笑いながらたしなめると、一哉は申し訳なさそうな顔をして、絡めた腕を解いていった。