慌てて離れると、 「べつに、ゆっくりしていっていいんだぜ? 俺様のここ、いつでも空いてるから」 と、颯は某芸人のように自分の体を指差す。 「古いし寒いし! いつでも空いてるってことは、全然モテてないってことじゃん!バーカ!」 真っ赤になって言い返すと、颯はショックを受け、また床にのの字を書き始めてしまった。 そんなとき。 「おい、人間。出ろ」 さきほどアレクに意地悪を言った精霊族の男が、牢屋の戸を開けた。