漸く倒すべき敵が居なくなった時、皆が動くのを止め、辺りに静寂が広がった。



「……遂に、始まったんだね。」



レイムの呟きに、皆が黙って頷く。


戦い終わってから、漸く実感する。もう、予言は現実に なりつつある、と。



「……それにしても、魔法が弱いなんて……ぶふっ。」



静寂を壊そうとしてか、ウィンが突然 吹き出す。



「もう その話は良いだろ! 大体お前、助けて貰っといて礼も無しか。」


「はいはい、有り難うございましたー。」


「…………っ。」



ウィンの適当な態度に、ライネスは顔を顰める。



「因みに どれくらい弱いんですか?」



リホの問いに、ライネスは黙り込む。



「…………。」


「…………。」


「……じゅ、10年前から、全然 成長していない。」


「ぶっ。」



再び吹き出したウィンを、ライネスは ぎっと睨む。



「ま、でも これで、秘密は無くなったね。」


「そうだよ! 仲間だもん、秘密なんて要らないよね。」



レイムとリーが笑顔で頷く。その光景を見たライネスは小さく目を逸らしたが。


誰も、それには気付かなかった。