くるうみの当日。


参加する山潮高の職員生徒は港に現地集合する決まりになってた。


梅雨らしく昨晩から曇り空で、今朝もぶ厚い雲が空を覆って今にも雨が降り始めてきそうな感じ。


「うわあ、あたし達が島に入ってから降ってほしいよね」


そう言う亜美とあたしは待ち合わせして2人で港に向かってた。


くるうみの当日はペアで行動するのは港からで、それまではなるべく接触しないようにと注意されてたけど、あたしはそれだけでなくとも勇人の顔が見られなかった。


……バカ。


あたしは泣きたくなる気持ちを押さえながら呟いた。






昨晩あたしは冗談か真剣かわからない口調で勇人から
「子ども作るか」
と言われたけど、あたしは吹き出して何の冗談と大笑いしながらなんとかやり過ごしたから、あの後あたしと勇人の間には何もなかった。


勇人も「冗談だ、バカ」と言ってあたしにデコピンを食らわし、早く飯食えよと言いながら部屋から出て行った。


あの時……


あたしは怖くなった。


勇人が。


勇人という男性が。