「ごめん……

言ってることが、よく……」



あたしは苦笑いで茶化してみる。

テーブルの上に残ったあたしのたこ焼きは、もう冷えてしまったみたいで。
あまり、食べる気にならない。



「そうだよね。ごめん」



美山さんの表情が一瞬、緩んで。
あたしはそれを見てまた、苦笑いをする。



「今はわからなくてもいい。

……でも、よかったら、だけど。
あたしとも、仲良くしてね。二谷さん」



「う、うん。それは、もちろん。
こちらこそ……」



よくわからない展開だけど。
ともかく、あたしと美山さんは、知り合い以上の関係になるらしい。

……多分。



というか、瑠樹亜は?
瑠樹亜の気持ちはどうなの?

あたしにあんなところを見られて。
美山さんに、こんなにベラベラ秘密をバラされて。

何ともないの?



「あ、瑠樹亜。おかえり」



そこに、片手に本屋の紙袋を抱えた、主役が登場。



「あった? 探し物」


「うん」


「もしかして、瑠樹亜が好きな作家の新刊?」


「そ」


瑠樹亜と美山さんの。
普通の会話が、何だか白々しい。