「あ、二谷さん。もういいの? 」


保健室を出たところで、職員室で用事を済ませたらしい西川ちゃんに呼び止められた。


「って、あなた、また鼻血出てるわよ!」


「ふえ?」


口を開いたと同時に、鼻から生温かいものが垂れてくる。

ああ、やばい。
興奮しすぎたのかな。


「あなた、もう帰りなさいよ。何だか顔色も悪いし」


「ふあい……」



西川ちゃんに付き添われて、教室へ荷物を取りに行く。

ハンカチで鼻を押さえながら、西川ちゃんに冷えピタをおでこに貼ってもらって。

クラスメイトの視線を受けながら、のそりのそりと自分の席へと歩き、鞄を手に取る。


教室に瑠樹亜は戻っていなかった。

瑠樹亜の席は、あたしの所からよく見える。


一番後ろの席で、のんが心配そうにあたしを見ていた。


だよね。
元気だけが取り柄のあたし。

早退なんて、初めてのことだもん。