「あ、ごめんなさい!」
向こうも驚いてた。
そうだよね。
鼻の両穴からティッシュ出てる人が寝てたわけだし。
制服は血で汚れてるし。
「あ」
よく見るとカーテンを開けてビックリしているのは。
F組の美山さんだった。
凄い偶然。
我ながら、できすぎてる。
「ひょっひょ!!(ちょっと!!)」
勢いよくカーテンを閉め直して、保健室を出ようとしていた彼女を呼び止める。
あ、いけない、いけない。
こんなのが鼻につまってたら、何言ってるかわかんないや。
あたしは鼻をふさいでいた2つのティッシュを抜き取る。
うん。
だいぶ止まった。
こよりの先はカラカラだ。
「あ、西川ちゃん、職員室に用事あるって。
それから、あたし、もう教室戻るんで、よかったら、ベッド」
しどろもどろなあたしをガン見する美山さん。
「あ、うん。……ありがとう」
そう言って、ふわり、と笑う。
どうしよう。
めっちゃかわいい。
切り揃えられた前髪に、太めの眉毛。
のんには負けるけど、睫毛も長そうだし。
頬は適度にピンク色で。
口は女子憧れのアヒルちゃん。
黒い長い髪が、よく似合ってる。