「……ひふは、ははあ(しずかだなあ)」



誰もいなくなった保健室。
そう呟きながら、目を閉じる。


あまりにも静かで。

エアコンなのか換気扇なのか、ファンの回る音が微かに聞こえてくる。

瞼の裏には、さっきまで隣にいた、瑠樹亜の顔がしっかりと焼き付いている。




うんと、うんとキレイで。
意地悪で。
かっこよくて。
優しくなくて。

それで、それで……


ガラ。


あたしの思考は、突然開けられた保健室のドアの音で、一時中断。



「西川ちゃん、いる?」


女子の声だ。

カーテンが閉まっていて、ベッドの上からは誰が来たのか、見えない。



「いないのかな……」



弱々しい声。
具合が悪いのかもしれないな。



「困ったな……お腹いたいのに。ベッド、誰か」


シャッ


「ひっ」


突然カーテンが開いて、またもや変な声が出てしまった。