『あの日』から、二ヶ月と少しが過ぎた。


あたしには、じわじわと『日常』が戻ってきている。


……けれど。


空いた穴は大きく。
なかなか塞がらない。


胸の奥には。
スウスウと風が通るくらいの穴が空いていて。


寒くて寂しくて。
たまらない。


それを一番近くで感じてくれているのんは、こうして毎日、あたしに笑顔を見せてくれるんだ。



「おはよ」


「あ、山本、おはよ」


「はよ」


校門を通り過ぎるとすぐに、話しかけてきたのは山本だった。

山本もまた。
少し、痩せた気がする。


「……あ、二谷」


そうして時々、こうしてあたしを振り返る。


「……連絡あった?」


そうして決まってそう質問する。


「……ん、まだ」


あたしも何度。
そう答えただろう。