【完】春紫苑




…………将光?


今の声…………将光?





「……ねぇ、流!」


「今の声……」






顔を見合わせて、次の瞬間には私たちは走り出していた。



教室へ近づく度にはっきりと見える人だかり。


声も出せずに、ただ立ち尽くす生徒たち。






「将光!!!」






その中心にいる人物に叫んだって私の声は、


むなしく廊下に響くだけ。


将光は私なんて見ようとはしない。






「ムカつくんだよ!」