【完】春紫苑





「無駄にでかいのよ。正直、こんなに大きくたって意味ないよ」


「えぇ~?俺、こんな家に一度で良いから住んでみたい」


「なら、流が私として生きる?私の代わりに、こんな家で生きていってくれる?」






こんな、でかいだけの家で。


形だけの家族で。






「流が生きていってくれるの?」


「ごめん………忘れてた。美琴の家のこと……」





流は俯いてそう呟いた。

そんな顔させるはずじゃなかったのに……。



流なら笑い飛ばしてくれる。

そう思ってたのに。




やっぱり変だ。




「美琴って学校じゃ家のこと話さないじゃん?それに、俺にとって超お嬢様って習い事とかめっちゃやってるイメージなわけ!

だけど美琴はそんなこと無いじゃん?だから……つい、ごめんね美琴」