【完】春紫苑






「私がいるから将光の人生は狂った。知らない間に駿や流の人生まで狂わせて。なら、いなかったことにすれば良い。私なんて、最初からいなかったことにすれば良い」






違う?、そう聞いてみせた美琴に俺はなにも返せなかった。


止めたいのに、何を言ったら美琴の覚悟が揺らぐのか

美琴を止められるのか分からなかった。




ねえ、将ちゃん。

将ちゃんなら何て言う?


何て言って目の前の愛しい人を助ける?

止めて見せる?



教えてよ、美琴が駿に近付いていくんだよ。


ねぇ、将ちゃん。



駄目だって首を振る駿じゃ止められないんだよ。



その時、目に入ったナースコール。




俺はバレないように、そっと手を伸ばしボタンを押した。