【完】春紫苑







覚悟を決めた、はずだったのに。





「流っ!」




最悪なタイミングで愛しい人はやって来た。



ドアを開けた瞬間、美琴の表情は凍りついた。





「美琴、来るなっ!」





危なすぎる。

頼むから、来ないでくれ。




そんな俺の思いとは裏腹に美琴は躊躇いもなく近付いてくる。


いや、違う。


美琴の手は微かだが震えている。





「美琴、危ないから来ないでくれっ!」