【完】春紫苑






それに、母さんが殺されただけで会社はかなりの損害を受ける。


これで、榮一さんの秘書が関わってることが分かったら橋月グループまで打撃を受けることになる。



だから、守ったんだと思う。


自分を犠牲にすることで、親友を。


息子の彼女の家を、生活を。




バカとしか言いようがねーよな。


意味わかんねーもん。




みんな、大切なものを守りたかったんだ。


それが、きっとこんな事件を起こしたんだ。

なんて、そんな綺麗事じゃないんだけどな。




美琴が、どれだけ知ってたかはわかんねーけど

お前が少しずつ笑わなくなったのは、家を嫌うようになったのは、何かしらを知ったからだったんだよな。



俺にバレまいと必死だったんだよな。



伝えようと思ったけど、俺が知ってるって分かったら既に罪悪感で押し潰されそうだった美琴は

壊れてしまうんじゃないかって


俺から離れてしまうんじゃないかって



そう思うと、怖くて言えなかった。



ごめん、本当にごめんな。