「また、だ」 将光の家には、あちらこちらに写真が飾ってある。 机の上に、二つほど見つけた。 何のときだろうと思って近付いてみる。 「小学校の修学旅行と、中一の体育祭、か」 当たり前だけど部屋にある写真は、五年前のあの日より前のものだけで。 まるで、あの頃から時間が止まってしまっているみたいだった。 それに、由季さんと隆弘さんの写真も一枚もない。 将光は、この家で、一人で。 一体、どんな思いで過ごしていたんだろうか。