「裁くって、何言ってんだよ、美琴」
見開かれた駿の瞳が私を捕らえる。
戸惑いに満ち、嘘だろとでも言いたそう。
「将光を苦しめるやつとか、殺しても殺したりないよ?」
「そんなこと、将光は望まねーよ」
「うん、そうだろうね」
当たり前じゃない。
彼女にそんなことを望むような人じゃないよ、将光は。
ただ、将光が望もうが望むまいが、そんなの関係ない。
人を一人刺したくらいじゃ、死刑になんてなってくれない。
何年か牢屋に入ったら、出てきてのうのうと暮らしていくんでしょ?
そんなの、許せるわけないじゃない。

![[短編]初恋を終わらせる日。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre1.png)