【完】春紫苑






「裁くって、何言ってんだよ、美琴」





見開かれた駿の瞳が私を捕らえる。


戸惑いに満ち、嘘だろとでも言いたそう。







「将光を苦しめるやつとか、殺しても殺したりないよ?」



「そんなこと、将光は望まねーよ」



「うん、そうだろうね」






当たり前じゃない。


彼女にそんなことを望むような人じゃないよ、将光は。


ただ、将光が望もうが望むまいが、そんなの関係ない。


人を一人刺したくらいじゃ、死刑になんてなってくれない。



何年か牢屋に入ったら、出てきてのうのうと暮らしていくんでしょ?


そんなの、許せるわけないじゃない。