「いい加減にしろっ!」
怒鳴られた、そう思った瞬間
乾いた音が響いて頬が痛んだ。
「まるで、将光がいなくなるみたいな言い方するなよっ!」
「………っ」
「将光は、生きてるだろっ!?いま、必死に戦ってんだろっ!?」
「……分かってる…」
そんなの分かりきってる。
「分かってる、分かってるわよ、そんなこと!だから、怖いんじゃない!!どうしようもなく、怖いのよ!!!」
そんなこと言われなくても、痛いほど分かってる。
叫んだって、未来が変わらないことも分かってる。
運命に従うしかないってことも。
ただ、神様は。
私に味方したことなんて、ほとんどない。
私は、神様とか運命とか。
そういうのに、とことん嫌われてる。
だから、神様は将光を連れていっちゃんじゃないかって、怖いの。

![[短編]初恋を終わらせる日。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.775/img/book/genre1.png)