【完】春紫苑






「いい加減にしろっ!」





怒鳴られた、そう思った瞬間

乾いた音が響いて頬が痛んだ。





「まるで、将光がいなくなるみたいな言い方するなよっ!」


「………っ」


「将光は、生きてるだろっ!?いま、必死に戦ってんだろっ!?」



「……分かってる…」





そんなの分かりきってる。






「分かってる、分かってるわよ、そんなこと!だから、怖いんじゃない!!どうしようもなく、怖いのよ!!!」





そんなこと言われなくても、痛いほど分かってる。


叫んだって、未来が変わらないことも分かってる。



運命に従うしかないってことも。



ただ、神様は。

私に味方したことなんて、ほとんどない。


私は、神様とか運命とか。

そういうのに、とことん嫌われてる。



だから、神様は将光を連れていっちゃんじゃないかって、怖いの。