【完】春紫苑




何で、どうして。





「すいません」





人だかりを掻き分けながら、音がする方へ近付いていく。


少しずつ、確実に大きくなる着信音。




大丈夫、落ち着け、私。






「────ひゃっ……」






真っ先に私の目に飛び込んで来たのは、赤。


赤、赤、赤。



風にのって、ふわりと感じた鉄の臭い。




──────血。