【完】春紫苑





「んじゃ今日も1日頑張れよー」





そう平田は言い教室を出ていった。




ガタッ






「キャッ!!!」






平田が教室を出た瞬間、城野さんが席を立った。



思わず悲鳴をあげてしまった。


彼女に違和感を感じていた私は、それだけのことが異常に怖かった。



突然の私の悲鳴にクラスメートが一斉に私を見る。


だけど私の視線は城野さんに向けられたまま動けないでいた。


すると城野さんも私へと視線を移した。







そして、また


ニヤリと笑った。



怯える私を見て満足そうに。



何か言わなきゃ……。



そう思うのに体が震え出して、うまく言葉が出てこない。



震え出した私をしばらく見ていると、彼女は何もなかったかのように、そのままどこかへと行ってしまった。




今の時間が、ほんの数秒なのか。



それとも何分とかもっと長い時間だったのか私には分からない。




ただ、

怖い…怖い、あのこ。


なんかあのこ普通じゃない。



そんな感情だけが私を支配していた。



震え出した体はもう自分じゃどうしようもできなくて。



私は座ったまま俯いていた。





「美琴…美琴?」