【完】春紫苑







「わかんねぇ…そう言えば、聞いたことねーな…」




規則正しい寝息をたてながら眠る、綺麗な顔。


いつだってバカみたいに明るくて元気で。



彼が悩むとか、考えたことがなかった。


悩みや不安のない人間なんていないはずなのに。






──コンコン。


リズムよく叩かれたドア。




「美琴、私だが」




ドア越しにお祖父様の声がした。