【完】春紫苑






「……美琴が……辛そうだからだろ」





将光の親指が私の涙を拭う。





「美琴が辛そうだったり、泣いたりしたら、どうして良いか分かんねーんだよ………。



美琴が……ずっと苦しそうに笑うから…無理して笑うから……どうして良いか分かんねーんだよ…」





何よ……それ。






「それは………将光だよ……」






作り笑いを浮かべ、笑わなくなったのは将光だよ。


だから私、どうしたら良いか、何が正しいのか分からなくて。


暴れる将光をただ、見ていただけだった。





「四年前のあの日から……将光が笑わなくなったんだよ」