【完】春紫苑





突然、流が声を潜めながら話しかけてきた。





「何よ?」





どうせ、大したことじゃないだろうから私は振り向くことなく返事をした。






「あのこさ…何か美琴っぽくない?」



「「「はぁ?」」」






会話が聞こえていたのであろう、将光と駿の声が重なる。


そして、思ってもみなかった台詞に私は思わず振り返ってしまう。





「お前、俺にケンカ売ってんの?人の女、あんなブスと一緒にしてんじゃねーよっ!」





将光が流を睨む。







「てか美琴とアレが一緒に見えるとかお前、眼科行けよ」






駿からも冷たく突き放される。


私はただ、流を睨む。







「ち、ちちち、違うって!」