【完】春紫苑








「実は………会長には最近、付きまとってる女がいたんです」


「隆弘さんに………ですか?」


「えぇ、その女というのが吉野 麻里(よしの まり)。美琴お嬢さんもご存知ですよね……?」





吉野………麻里。


知ってるもなにも、彼女は……





「お父様の………秘書」





うん、間違いない。


初めて見たとき背が高くて美人で…モデルみたいな人だなって思ったのを覚えてる。





「そういえば、美琴お嬢さんは、どうして橋月会長が関わってると……」


「電話してるのを聞いたんです。



由季さんが病院に運ばれたとき、大丈夫だ、既に手は打ってあるって。


あと、隆弘さんが捕まったとき、認めるとは思っていたけどあっけなかったなって……。やってもいないくせにって……」






思い出すだけで、目眩がして、体が怒りで震える。