【完】春紫苑






私の声に慌てて振り向く西野さん。


記者の人か何かかと思ったのだろう。





「……美琴お嬢さん…」






私を捉えた西野さんの瞳が大きく揺れる。





「坊っちゃんは…一緒では……ないのですか?」




将光、探されてるんだ。


ってことは、やっぱり




「将光……やっぱり帰ってないんですね」


「…………やっぱりと言うのは?」



「病院まで一緒にいたんです。でも……帰ろって言ったんですけど……どこかに行っちゃって」




あのとき、やっぱり無理にでも引き留めておくべきだったのかな?






「…そうだったんですか」