「何で………」






私は無意識のうちに、向かってしまっていた。


家の前に群がる報道陣。


静かな住宅街だった、この場所が嘘のように人が集まり騒がしい。


恐らく誰もいないであろう、将光の家を前に誰もが興奮ぎみに、その場所にいた。



世界的にも有名なグループの経営者が妻を殺害。


確かに、これを上回るほどの事件なんて大量殺人などが起きない限り無いだろう。




でも、憎かった。

私にはその光景が憎かった。



こんな状況じゃ将光は、どこに帰れば良いのよ。



母親は殺され、父親は警察。


そんな状況で、家まで奪われたら。




将光は…


将光は………


どこに帰ったら良いのよ。