【完】春紫苑





乗り込んだ車で私は思い出していた。




"美琴ちゃん、いらっしゃい"


"将光を宜しくね"


"うちの息子なんかと美琴ちゃんが付き合ってるなんて信じられないわ"





いつも、私を優しい笑顔で迎えてくれた将光のお母さん。


将光のお母さんは、優しくて、とても暖かい人。




お願い……



無事でいて。



大丈夫だよね、お祖父様。


お祖父様の病院は日本きっての大病院。


最先端の技術が整っていて、日本中、いや世界中から沢山の患者さんが訪れる。




だからきっと救ってくれる。


震える手を必死で握りしめ、窓の外をぼんやりと眺めていた。