【完】春紫苑




弱くて弱くて、ほんとどうしようもない人間。


親が嫌い。


なら、家を出ればいい。



でも、私には、あの家を、今の生活を捨てることなんて出来ないと思う。



欲しいものなんか簡単に手に入る。



結局私はこんな生活を捨てられない。



口だけの、しょうもない人間なんだ。



こんな自分が嫌いで仕方がない。




流が将光とギクシャクしだしたせいで、私と駿は、流にも将光にも話しかけにくくなってしまっていた。


じっと目の前の背中を見つめる。




小さい



そう思ってた背中は、もう、そうは見えない。




城野さんが来てから、おかしくなってしまった。




でも、彼女は。


おかしかったのは初日だけ。



あの日以降はいたって普通。



でも、あの日を境に私たちが変わってしまった。



何かが少しずつ変わってしまっている。






「美琴、一時間目サボってちょっと話せないかな?」