「ーー花火打ち上げ5分前になります。」
館内放送が流れた。
上から聞こえたそれにつられたように、上を向く美丘。美丘の瞳は儚げに揺れている。
俺はキュッと、胸が苦しくなった。
「…美丘。」
口に出すと、その声は震えていて。
だらしないくらいにかっこ悪い声のオマケに、手までもがブルブル震えている。
美丘、みおか、みおか。
その名前の音は、どこまでも甘ったるい。
「お前本当に幸せなの?」
約束の時間は守らない。
平気で美丘を泣かせる。
美丘はいつだって、アイツに振り回されている。
それで本当にお前は、幸せなの?
「えー?なんで〜?」
美丘は吹き出したように笑いながら、顔をクシャクシャにしていた。
ーー美丘は弱音さえ、俺に吐いてくれないんだ。

