「私もとっくに二楷堂に狂ってるって事」

そう白状すると、二楷堂が驚いた顔をした後すぐに優しく微笑んで、私を抱き寄せた。
そして私の唇が自分の首筋にあたるように抱き締めながら言う。

「俺の血に?」

低く魅惑的な声が耳のすぐ近くから聞こえてきて、ぞくぞくと身体が震えた。

「確かに、ヴァンパイアにとってはきっと世界中で一番魅力的な血だろうけど、そうじゃない。
私は、二楷堂自身に――」

狂ってる。
続く言葉は、強引なキスにかき消された。

血に狂う事をあんなに怖がっていたのに。
今は二楷堂に狂っている自分をこんなに嬉しく思ってるから不思議だ。


二楷堂の作った籠の中でも、私は二楷堂の愛さえあればきっと幸せだ。
本気でそう思う自分に二楷堂と同じ匂いを感じて苦笑いを浮かべながら、二楷堂を抱き締めた。













「...Melting Love...―愛檻―」
END