「ねぇ、私の初恋がいつだかは聞かないの?」

二楷堂は私の手を一度離させてから、手を握り直す。
自分も握れるように。

「これ以上嫉妬する相手を増やしたくないしやめておくよ」
「頭の中を読んでないって事?」
「意識して読まないようにしてたから。
亜姫が他の男の事考えてるのを見せつけられるのは嫌だしね」
「絶対に読まないの?」
「だからそうだって」

頑なに言い張る二楷堂に、残念とため息を漏らすと顔をしかめられた。

「俺をこれ以上嫉妬深くさせたら、困るのは亜姫の方だろ」
「だってそんな結果にはならないのが分かってるし」

不思議な顔をする二楷堂に微笑む。

二楷堂はいつか、私に狂ってる、みたいな事を言っていたけれど、それを言うなら私も一緒だ。
二楷堂のキスを受け入れたあの時からずっと、甘い鎖に繋がれたまま自らそれを望んでるのだから。