...Melting Love...―愛檻―



頭がついていかない。
お母さんと一緒に火事の跡から見つかった人がお父さんで……ハンター?

混乱する私に、二楷堂がゆっくりと続ける。

「亜姫のお母さんは父親の事は誰にも話さずに、ヴァンパイア同士の子どもだって亜姫を育てた。
だけど、それを不審に思った協会側が調査をして、亜姫の父親がハンターだって事をつきとめた。
当時、人間と結婚するヴァンパイアはいても、ハンターと深い関係になるヴァンパイアは例を見なかった」

確かに、ヴァンパイアとハンターの結婚は今でも聞いた事がない。
それは多分……。

「協会が、それを禁止してたから?」
「そう。協会はどうにかしてハンターの上に立ちたかった。
だから、ハンターの子どもを生んだ亜姫のお母さんはヴァンパイア界の恥だと考えたんだろう。
死に至らせるために、協会は亜姫のお母さんに薬を盛ったんだ」
「薬……!?」
「吸血衝動を掻き立てる薬を」

今朝、美音に聞いた話が頭をよぎる。

「思春期を過ぎたのに覚醒しないヴァンパイアに使うっていう……?
それを普通のヴァンパイアが飲んだらどうなるの?!」